前回からの続きで今回は停電に対する備え、
具体的には電源(電気の元)の備えについて説明します。
3.被害に対する備えは何?(停電編)
停電になった場合に電源(電気の元)の確保として一般家庭でできる備えの筆頭は①「EV(電気自動車)」ですね。
続いて②「発電機」、③「ポータブル電源」、④「バッテリー(電池)」と言った感じでしょうか。
順に紹介します。
①EV(電気自動車)
EVと言ってもHV、PHEV等々ありますが、車側も家側も「V2H(Vehicle to Home)」に対応していると完璧です。
「V2H」とは車と家とを専用のケーブルで接続して、車のバッテリーから家側に電気を送ることで家の中で普段と同じ様に電気を使えるようにするシステムです。
ただし、
・車側と家側が「V2H」仕様になっていること
・使える電気は車のバッテリー容量に制限される ←詳しくは別で記載します
・マンション等ではほぼ無理(ケーブルが届かない)
などの問題があります。
「V2H」はググると沢山情報が出てきますが、例えば下記を参考下さい。
https://www.shouene.com/v2h/v2h-knowledge/about-v2h.html
ちなみにEVでなくても車のUSB端子や、100均で売ってるシガーソケット(12V)からUSBに変換するアダプターを使えば
スマホやモバイルバッテリーの充電は車中でできますね。
②発電機
一般家庭でも使える小型の発電機はEVより使える場所の制限が少なく、備えておくと安心です。
ただし、ガソリンやガスボンベといった燃料も一緒に備えておく必要があるのと、排ガスで屋外での使用になるのが欠点でしょうか。
値段もそこそこするので、キャンプ等でも使われる方は良いかもしれません。
選び方としては燃料の種類の他に、どれだけの燃料でどれだけの発電量、どれだけの時間発電できるのかが確認ポイントです。音もできるだけ静かなものが良いでしょう。
ホンダからも製品が出てます。
https://www.honda.co.jp/generator/
③ポータブル電源
いわゆる大型(抱えて運べるサイズ)のバッテリーで、コンセントと同じ100VやUSB端子で電気を供給します。
普段から充電しておけば停電時に使えるものです。
使用時に排ガスや音は出ないので発電機より使い勝手は良いと思います。
ただし、充電した電気を使いきればおしまいです。
ソーラーパネルと組み合わせたものもありますが、充電には時間がかかる場合と天候に左右されるのが欠点です。
選び方としては(電気の)容量、電気の供給口(コンセント、USB)とその数がポイントですね。重さも結構あるので確認しておいた方が良いです。
詳しい製品の選び方等はここを参考にすると良いでしょう。
https://my-best.com/874
④バッテリー(電池)
モバイルバッテリーと乾電池は皆さん良くご存じですね。
モバイルバッテリーも電気を使いきったらおしまい。充電が必要です。
乾電池は使い捨てタイプや充電タイプ(エネループなど)があります。
サイズが単1、単2、~単5、006Pと幾つかありますが皆さんがお使いの電気製品(懐中電灯、ラジオ等)に合わせて 必要なサイズをできるだけ数多く準備しておくと良いでしょう。
<参考1>
それぞれの電源で電気製品がどれくらい使えるの?
①EV(電気自動車)
プリウスをはじめとするEV(電気自動車)は、供給電力が1500Wが多いようです。
これで、同時にどれだけの電気製品が使えるか判断できます。
例えば、使っている電気製品の消費電力が以下の場合(※)、
照明:60W
テレビ:70W
冷蔵庫:150W
炊飯器:1200W
エアコン:800W
(※)電気製品のメーカーや仕様によって消費電力は異なります。また、起動時(スイッチON時)は消費電力の数倍の消費電力になる場合があります。
「V2H」で照明(60W)とテレビ(70W)と冷蔵庫(150W)とエアコン(1200W)を同時に使おうとする場合は合計電力がEVの供給電力1500W以下なので計算上は使えることになります(60W+70W+150W+1200W=1480W ←1500Wより小さい)。
一方、炊飯器(1200W)とエアコン(800W)を同時に使うことはできません。
(1200W+800W=2000Wで1500Wを越えるため)
では、どのくらいの時間電気を使うことができるのか。
プリウス(2L)がガソリン満タンで供給できる電力量は40kWh(=40000Wh)だそうです。
(単位がWhです)
上記の、照明(60W)とテレビ(70W)と冷蔵庫(150W)とエアコン(1200W)を同時に使った場合(合計1480W)は、
約27時間(=40000Wh÷1480W)使える計算です。
もちろん、使う電気製品の数を減らせば更に長時間使えることになります。
②発電機
ホンダの発電機は連続使用時間の記載があります。
https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu9igb/
出力の「VA」の単位が使われていますがこの場合は「W」に読み替えて問題ないです。
900VA(W)の場合連続運転1.1時間で、1/4負荷の225VA(W)の場合連続運転時間は4倍ではなく2.2時間の2倍となって単純に比例ではないようです。
詳しくはホンダさんに訊いてみないと判らないですね。
例として
スマホ充電器(15W×4=60W)+LED投光器(20W×3=60W)+電気毛布(50W×2=100W)=合計220Wで、
これらを連続して約2.2時間(2時間12分)使えることになります。
③ポータブル電源
先程紹介したページにも説明されていますが、一番のポイントは「実際の電池容量は公称値に対して80%程度の製品が多い」という点ですね。
https://my-best.com/874
具体的に見ると、
第一位の「DEENO X1500」は「電池容量」が1036Whで、「公称値に対する使用可能な電力」が95%となっています。
なので、実際の電池容量は1036Wh×95%=984Whとなります。
また、「ACポートの定格出力」は1500Wとなっていて、同時に使える電力量が最大1500Wという意味です。
これで、EV(電気自動車)の例で計算してみます。
照明(60W)とテレビ(70W)と冷蔵庫(150W)とエアコン(1200W)は合計1480Wで1500Wより小さいので同時に使用できることになります。
では、どれくらいの時間使えるかというと、984Wh÷1480W=0.6時間(36分間)となります。
発電機の例のスマホ充電器(15W×4=60W)+LED投光器(20W×3=60W)+電気毛布(50W×2=100W)=合計220Wは
1500Wより小さいので問題なく同時に使えて、984Wh÷220W=4.4時間(4時間24分)使えることになります。
④バッテリー(電池)
モバイルバッテリーは電気の容量として「〇〇mAh」と記載されます。
USBを使ってスマホに充電する場合は、記載の容量の60%程度になるのが一般的です。
例えば、「6700mAh」と記載されているモバイルバッテリーは、スマホに充電する場合は6700mAh×60%=4020mAhの容量で計算します。
iPhone14Pro(バッテリー容量3200mAh)をこのモバイルバッテリーで充電すると4020mAh÷3200mAh=1.2となって、1回と少しだけ充電できることになります。
整理すると、以下の計算になります。
◆スマホに充電できる回数=(モバイルバッテリーの容量(mAh)×0.6)÷スマホのバッテリー容量(mAh)
では、今使っているスマホを〇回充電したいときに必要なモバイルバッテリーの容量は以下で計算できます。
◆モバイルバッテリーの容量(mAh)=(充電したい回数×スマホのバッテリー容量(mAh))÷0.6
例)iPhone14Pro(バッテリー容量3200mAh)を2回充電したいときに必要なモバイルバッテリーの容量
(2回×3200mAh)÷0.6=10667mAh となり、10667mAh以上のモバイルバッテリーを使えば良いことになります。
※iPhoneのバッテリー容量は↓のサイトで確認できます。
https://vit-shop-toyama.jp/iphone35/
また、乾電池を使ってスマホを充電する充電器もあります。
これについて検証された方がいるので参考にしてみて下さい。
iPhone14を充電する場合、単3乾電池4本で40%程度、単3エネループ電池4本で50%程度の充電ができたそうです。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/teleworkstory/1529029.html
<参考2>
停電はどれくらいで復旧するの?
停電からの復旧は電力会社の設備の被害状況によりますが、
過去の災害で電気が復旧するまでにかかった日数は以下の通りです。
・阪神淡路大震災:6日
・東日本大震災 :9日(東京電力管内)、3ヶ月(東北電力管内)
※自宅の電気設備(ブレーカーや配線等)が故障していない前提です
将来起こる可能性のある「首都直下地震」の場合、国は6日で停電復旧させることを目標にしています。
このことから、1週間程度の停電に備えることができれば何とかなりそうな感じです。
さて、今回は災害時の停電に対する備えとして電源について長々と説明しましたが、
ここで書いた電気の使用時間等は諸条件で異なるので、あくまでも目安として理解してください。
次回は「被害に対する備え(断水編、ガス停止編)」を説明する予定です。